2013年12月

「おぬしら二人は、狩人のことは他言無用で頼むよ。なにより、おぬしらの大事な男のためにな」  アシモフは、そう言って話を終えた。  小さな病室の中に、重い空気が流れる。  ここは、組合附属療養所にある小さな病室の一つだ。  ベッドに横たわるアシモフは、もう ...

 ユウイチの振り降ろす拳は、ちょうどその場に居合わせた蝿をはじき飛ばし、そこに立っていたスクリュードではなく、アスカに向かっていた。 「ちがっ!」 「ユウ?」  アスカが、何の疑いもないまっすぐな瞳で、彼を見上げる。  しかし、今のユウイチには拳の勢いを ...

「……僕たちは、あいつを甘くみていたようだ。気をつけろよ! アスカ、ステラちゃん!」 「任せといて!」 「はい!」  三人は背中をあわせ、周囲に気を配る。 「私は、あなた方が生まれてくる前から修羅場をくぐっている」  不意に目の前に現れたスクリュードが、 ...

 ステラはリカードの元へ向かおうとしたが、それはアスカの力強い腕に引き留められた。 「と、止めないでよ! アスカ」 「いいから、ここでじっとしてなさい」 「いやよ! アスカ、あなたはじっとしてられるの?」  アスカはその問いになにも答えず、ステラの目をじ ...

「お前……」 「お前はっ!」 「き、昨日の変異師!」 「? 盗賊団の中に、彼がいたんですか?」  三人の呟きに、リカードが聞いた。 「ああ。……あいつら、あの変異師を雇っていたんだ。それで一日遅れたってわけさ」 「あいつって、予定外だったの?」 「そうい ...

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