「おぬしら二人は、狩人のことは他言無用で頼むよ。なにより、おぬしらの大事な男のためにな」 アシモフは、そう言って話を終えた。 小さな病室の中に、重い空気が流れる。 ここは、組合附属療養所にある小さな病室の一つだ。 ベッドに横たわるアシモフは、もう ...
2013年12月
12.『狩人は人を狩る』
ユウイチの振り降ろす拳は、ちょうどその場に居合わせた蝿をはじき飛ばし、そこに立っていたスクリュードではなく、アスカに向かっていた。 「ちがっ!」 「ユウ?」 アスカが、何の疑いもないまっすぐな瞳で、彼を見上げる。 しかし、今のユウイチには拳の勢いを ...
11.『蝿の王』
「……僕たちは、あいつを甘くみていたようだ。気をつけろよ! アスカ、ステラちゃん!」 「任せといて!」 「はい!」 三人は背中をあわせ、周囲に気を配る。 「私は、あなた方が生まれてくる前から修羅場をくぐっている」 不意に目の前に現れたスクリュードが、 ...
10.『狩人』
ステラはリカードの元へ向かおうとしたが、それはアスカの力強い腕に引き留められた。 「と、止めないでよ! アスカ」 「いいから、ここでじっとしてなさい」 「いやよ! アスカ、あなたはじっとしてられるの?」 アスカはその問いになにも答えず、ステラの目をじ ...
9.『法則解明協議会』
「お前……」 「お前はっ!」 「き、昨日の変異師!」 「? 盗賊団の中に、彼がいたんですか?」 三人の呟きに、リカードが聞いた。 「ああ。……あいつら、あの変異師を雇っていたんだ。それで一日遅れたってわけさ」 「あいつって、予定外だったの?」 「そうい ...